あれよという間に1ドル=120円。国内では円安効果の評価が分かれ、輸入コストの上昇などマイナス面を憂慮する声もある。だが、国外、特に中国、韓国への影響はどうか。輸出で日本と激しく競合する韓国は、朴槿恵(パク・クネ)大統領が円安批判を口にするほどだから、打撃の大きさはかなりのものだろう。
中国ともなると、表立った円安への反発は見られないが、2年前のアベノミクス開始後、この12月5日時点で人民元は円に対して実に5割以上も切り上がった。2年間でドルに対して65%高くなった1985年9月の「プラザ合意」後の円ほどではないにしても、前例のないほどの円安・元高シフトである。日中経済関係が衝撃を受けないはずはない。
中国の物流を代表する鉄道貨物輸送量は2012年秋以来の円安トレンドに共振するかのように急下降している。その間、昨年第4四半期以外は前年比マイナスだ。中国製造業の購買担当者指数(PMI)の輸出新規受注は伸び悩んできた揚げ句、10、11月は前年比マイナスだ。実質経済成長率は7%台だと北京当局は発表しているが、国内総生産(GDP)の半分を構成するモノの動向はマイナス成長を示している。他方で、中国の賃上げは毎年10%以上で推移している。
リーマン・ショック後の景気を牽引(けんいん)してきた不動産開発投資が不動産市況の悪化に伴って急減しているうえに、輸出が増えない。対中進出企業では、内需を目当てにしてきたサービス業種も、人件費などの低廉さを見込んで中国での生産を拡充してきた製造業も、ここは思案のしどころだ。