中国が難局を打開するためには、元の対ドルレートを切り下げるのが手っ取り早いが、管理変動相場制度をとっているために、身動きがとれない。米議会から人為的な為替操作だと非難されて制裁されかねない。もう一つ、小刻みながら、人民元を切り上げないと、年間数千億ドルにも上る「熱銭」(共産党幹部など特権層の投機資金)が国外逃避しかねない。
ドルに対する円安基調は、日本の異次元金融緩和や米国の利上げ期待からみても、定着する公算が大きい。さらに、元に対する円安の進行速度は対ドルを上回るのは間違いない。
今回の衆院総選挙で与党が圧勝しようものなら、安倍政権はアベノミクスをまき直して、4月の消費税増税以降、急降下した内需を立て直そうとするし、日銀も円安誘導策を継続するだろう。
円・元の為替レートでは日本での生産コストが中国よりも5割も改善したのだ。それにチャイナリスクもある。日本企業が重点投資先を中国から他のアジアに移す動きはすでにはじまったが、今や生産を中国から母国に回帰させる条件が整ってきた。安倍政権は法人税実効税率引き下げに限らず、この機を逃さず包括的な製造業呼び戻し政策を打ち出すべきだ。(産経新聞特別記者・編集委員 田村秀男)