《原油安は、短期的には物価の押し下げ要因だが、長い目でみれば物価を押し上げる》
10月末の追加緩和決定の背景には、原油安でデフレマインドの転換が遅れるリスクを回避する目的もあった。だが、1バレル=80ドル(約9500円)だったドバイ原油価格は、足元で55ドルまで下落。SMBC日興証券によると、「足元の期待インフレ率は0.7%まで低下。追加緩和前の0.81%を下回り、緩和効果が完全に消滅した」(渡辺浩志シニアエコノミスト)。ただ、黒田東彦総裁は、原油価格の下落で、家計、企業活動にプラス面の効果が出てくることを指摘。「前年比でみた物価への影響はいずれ剥落していく」としており物価目標達成への自信を改めて示した。
《(物価目標達成への)リスク要因は、新興国、資源国経済の動向、欧州における債務問題などがある》
15日に年初から約5割安となる1ドル=65ルーブル台をつけるなど、暴落が続いたロシア通貨。原油価格の下落やウクライナ危機に伴う欧米の対露経済制裁が、ロシア経済に打撃をもたらすとみられたことが要因。黒田総裁は「欧州経済、国際金融資本市場への影響を注意深く見守っていきたい」と発言した。