米中央情報局(CIA)元職員のスノーデン容疑者による暴露はこのような流れを決定づけた。ネットが自由で国境のないものだとする裏側で、米国家安全保障局(NSA)はグーグルやアップルといった米国主要IT企業の協力の下、無制限で無差別な情報収集と市民監視を世界中で行っていたのである。そしてこのような米国の偽善性が明らかになった後もNSAの姿勢は基本的に変わっていない。この結果、サイバー空間が世界の共有地(グローバルコモンズ)となるどころか、各国が国境を設け自らの権利を守るバルカン化へと進んでいるのである。
特に最近はこれまで米国と足並みをそろえてきた欧州連合(EU)が自らの地域的権益を守るためにからめ手から攻勢をかけている。既に個人情報保護の「指令」から「規則」への改訂にあたって、EUは個人データ保護の強化で米国を牽制(けんせい)し、最近その過程で「忘れられる権利」をめぐって、また検索市場の独占分割問題でもグーグルと代理戦争を繰り広げている。
◆根深い欧米の対立
文化面でもEUは古今東西すべての書籍をデジタル化し検索可能にするグーグルブックス構想に対し、米国を中心にした文献提供の独占化であり、オンライン文化帝国主義だと批判して独自の「ユーロピアーナ」巨大電子図書館を立ち上げ、地域の文化権益を守ろうとしている。