【論風】青山学院大学教授・榊原英資 見えないアベノミクス第3の矢 (2/3ページ)

2015.1.8 05:00

 ◆再増税延期は誤り

 しかし、第2の矢は放たれたという状況ではない。財政は一方で財政再建が大きな課題であり、そのための消費税増税が決定されていた。たしかに安倍政権は消費税増税を17年10月まで延期し、景気回復を優先させたが、日本国債の格付けを引き下げられるなど国際的評価は芳しくない。

 筆者も増税は先送りすべきではなかったと思っている。景気刺激は公共事業など歳出の拡大やさらなる金融緩和によってやるべきで、財政再建のスケジュールは法定されているように実行すべきだった。

 国内総生産(GDP)の250%もの累積赤字を抱え、しかも毎年GDPの8%もの赤字を出しているという状況は中長期に継続できるものではない。

 現在、国債市場が混乱することなく順調に推移しているのは、家計の累積金融資産が大きく、それが間接的に国債の購入に回っているからだが、この状況は中長期的には変化せざるを得ない。財政赤字がGDPの8%で推移しているのに、家計の貯蓄率は2%まで下がってきている。次第に累積財政赤字が累積金融資産に迫り、国債市場が混乱することになる。

 これを避けるためには、財政赤字の縮小、具体的には消費税増税を着実に実行していくしかない。現在、一般会計歳出は95兆円前後、それを50兆円前後の歳入と45兆円前後の国債発行でファイナンスしている。

 この状況をいつまでも続けるわけにはいかないのは自明のことだろう。たとえ、消費税率を10%にしたとしても、増収は5兆円程度。将来に財政赤字を解消しようとすれば、消費税を欧州なみに20%超まで上げざるをえない。前述したように、消費税増税延期はすべきではなかったし、大きく、日本に対する国際的評価を下げてしまったのだった。

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