◆調整局面に突入
アベノミクスの第3の矢といわれている成長戦略はほとんど見えていない。筆者には成熟期に入った日本経済にとって果たして成長戦略が必要かどうかさえ疑問に思える。必要なのは成熟戦略だと思っているからだ。つまり、1%前後の成長率を前提にして、どのような政策を実行していくかが重要なのであって、無理に成長率を上げてもバブルを生み出すのみだからだ。
アベノミクスの第1の矢が成功だったことを認めることにやぶさかではない。しかし、金融政策だけでは日本経済を支えていくことはできない。財政再建のスケジュールを変更することなく、東京オリンピックなどを念頭に、インフラや交通網の整備など財政面でもやることは少なくない。第2の矢、第3の矢の大きな調整が必要な局面に入ってきているのではないだろうか。
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【プロフィル】榊原英資
さかきばら・えいすけ 東大経卒、1965年大蔵省(現財務省)入省。ミシガン大学に留学し経済学博士号取得。財政金融研究所所長、国際金融局長を経て97年に財務官就任。99年に退官、慶大教授に転じ、2006年早大教授、10年4月から現職。神奈川県出身。