政府内に楽観的観測も
日本政府内には「西太平洋で行われた演習に伴う動きで、政治的な意図はない」(防衛省幹部)と楽観する声がある一方で、「海上連絡メカニズムが運用開始されるまでの間の駆け込み的な既成事実づくり」(防衛省関係者)との見方もある。習近平国家主席が昨年9月に訪印した際、中印両国が領有権を争うカシミール地方に中国軍が越境した例もあり、「接近しながら挑発するのは、習政権の外交パターンだ」と語る政府関係者もいる。
「海だけでなく、空にもメカニズムを広げたい」
昨年11月、中国軍関係者は日本政府関係者に対し、海上連絡メカニズムに関して非公式にこう呼びかけた。
メカニズムは艦船だけではなく、艦載機などの航空機も対象として大筋合意済み。新たに提案された「空」の枠組みが、中国が一方的に設定した防空識別圏の問題を含むのであれば日本側としては受け入れられない。12日の作業部会で中国側が正式にこの問題を議題とするよう求めれば「メカニズムの議論のやり直しになる」(防衛省関係者)おそれもある。