イオンリテールの土谷美津子取締役兼専務執行役員は「直営牧場を持つ強みを生かし、関税引き下げ分(の利益)をお客さまに還元していきたい」と強調。ワインについても「牛肉とあわせて飲む需要がある」(土谷氏)ことから、最大17%程度値下げした。
一方、安価な豪州産牛肉の輸入急増で国内畜産農家が打撃を受けないよう、協定では引き下げ後の関税率が適用される輸入量に上限を設けた。ただ、「(肥育前の)子牛の購入費が高いし、円安で飼料代も上昇している。安い豪州産の増加で国産の価格が下がればダメージは大きい」(宮崎県の畜産団体関係者)と影響への不安は根強い。
豪州は日本市場で競合する米国産牛肉よりも価格面で有利になる。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉をめぐり、日本に牛肉の市場開放を迫る米国から譲歩を引き出す好材料となる可能性もある。
日本からの輸出拡大に期待がかかるのは自動車だ。
豪州が日本からの輸入車にかける5%の関税は輸出額の約75%分が発効とともに撤廃された。これに先だって、すでに現地シェア首位のトヨタ自動車が1日から、スポーツ用多目的車(SUV)「ランドクルーザー」シリーズなどを値下げするなど、日本の自動車メーカーが豪州で販売価格を下げる動きが相次いでいる。消費者に割安感をアピールし、韓国・現代自動車などのライバル社を突き放す構えだ。