メガFTA実現で関税負担2・5兆円減 法人税率5%超効果経産省試算

2015.1.16 05:00

 日本が現在交渉中の巨大自由貿易協定(メガFTA)がすべて実現した場合、日本の輸出企業が支払う関税の負担が2兆5137億円軽減される見込みであることが15日、分かった。経済産業省がこのほど試算したもので、負担の軽減額は日本の法人税率5%超の引き下げに相当する。経済効果は大きく、政府は難航する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉をはじめ、メガFTAの早期妥結を目指す。

 試算は、メガFTAの交渉参加国が日本から輸入している金額に関税率を乗じて算出した。それによると、負担軽減額はTPPが5451億円▽東アジア地域包括的経済連携(RCEP)が1兆9573億円▽日中韓FTAが1兆1893億円▽日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が2368億円-となっている。これらの合計額から重複分を除いたのが全体の軽減額だ。

 あくまでも試算で、実際の負担軽減額は最終的な貿易自由化の水準によって変動する可能性があるが、大きな経済効果が見込めるのは間違いない。

 輸出企業の関税負担が軽減されれば、企業の利益が向上するだけでなく、海外市場での価格競争力も増し輸出が促進される。足元では、円安や法人実効税率の引き下げが決まったことなどで、企業の生産拠点が国内に回帰する動きが出始めている。これに加え、メガFTAの実現により輸出競争力が強化されれば、国内回帰の動きが加速し、雇用の維持・拡大に寄与することが期待される。

 メガFTAの効果は関税負担の軽減だけではない。米ピーターソン国際経済研究所は関税撤廃のほか、非関税措置の削減やサービス・投資の自由化も含めてTPPとRCEPの実現による国内総生産(GDP)の押し上げ効果を推計。

 それによると、TPPでは、日本のGDPが2025年に07年より1050億ドル(約12兆3千億円)、RCEPで960億ドルそれぞれ増える。TPPの効果は米国の770億ドル増を大きく上回る。TPP交渉に参加していない中国はTPPの実現でGDPが350億ドル押し下げられる悪影響がある一方、RCEPで2500億ドル押し上げられるという。

 日本にとりTPPはメガFTAの“牽引(けんいん)役”に位置づけられるだけに、まずはTPP交渉の早期妥結が急務となる。

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