安倍晋三政権が通商戦略の柱に据える巨大自由貿易協定(メガFTA)交渉が足踏みを余儀なくされている。日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉会合が8日、東京都内で始まったが、EU側は日本の「非関税障壁」に関する追加の改善策を要求。7日に米ワシントンで開幕した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉会合も大幅な進展は望めない状況だ。特にTPP交渉は“漂流”懸念が現実味を増しており、このままでは日EUによるEPA交渉の足も引っ張りかねない。
「日本側が解決に取り組む保証はない」。欧州連合(EU)欧州委員会はこう訴え、今回の交渉会合に先立ち、日本側に約40項目にわたる追加要求を提示してきた。今回の交渉会合は12日までの日程で、EUの追加要求への対応を中心に協議する見通しだ。
要求は日本市場への輸出の障壁になっているとEU側がみなす自動車や食品の安全に関する規制緩和が主な内容となっている。自動車に関しては、日本国内での走行を認める大型車や二輪車の規格、乗用車の灯火に関する規制などが問題視された。