G20閉幕後に記者会見する麻生財務相(左)と日銀の黒田総裁=10日、イスタンブール(共同)【拡大】
G20各国は経済環境や成長ペースが異なるほか、一部では脆弱(ぜいじゃく)性も残り、政策の足並みをそろえることが難しくなっている。「成長底上げ」という総論で合意したG20が各論での痛みを超え、協調態勢を構築できるのか。世界経済の新たな挑戦が始まった。(イスタンブール 万福博之)
政権にお墨付き
大和総研の近藤智也シニアエコノミストの話「声明は、金融政策を是認しつつ機動的な財政政策を図るというアベノミクスを是認している。現状認識において、日本は成長が緩慢と指摘されたが、逆に、日銀の金融緩和が『適切な金融政策』であり、意図的な通貨安を目指したものではないというお墨付きを得た形になっており、政権にとっては背中を押される内容ともいえる」
「緩和頼み」露呈
第一生命経済研究所の田中理主席エコノミストの話「声明は全体的に具体案に欠ける。世界経済に減速懸念が強まる中、最大のリスクであるギリシャの債務減免問題やウクライナ情勢などは、議論に時間が割かれても、G20参加国内での対立も多く、声明には踏み込めなかったようだ。金融政策では一定の合意がなされたが、それも『金融政策頼み』という実情を露呈した印象だ」