日銀決定会合 黒田総裁「追加緩和の検討ない」 生産・輸出の景気判断を上方修正 

2015.2.18 22:15

会見に臨む日本銀行・黒田東彦総裁=18日午後、東京都中央区の日本銀行(川口良介撮影)

会見に臨む日本銀行・黒田東彦総裁=18日午後、東京都中央区の日本銀行(川口良介撮影)【拡大】

 日銀は18日、金融政策決定会合を開き、現行の大規模な金融緩和策の継続を賛成多数で決めた。黒田東彦総裁は同日の記者会見で「今の時点で物価の基調は変化していない。追加的なことを今すぐ検討することはない」と述べ、昨年10月末に続くもう一段の追加緩和を検討する段階にはないとの認識を示した。

 昨年10~12月期の実質国内総生産(GDP)が3四半期ぶりにプラス成長となったことを踏まえ、国内景気の現状判断は「緩やかな回復」との表現を17カ月連続で据え置いた。

 黒田総裁は「生産も持ち直し、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減という意味での下押し圧力は収束しつつある」と指摘し、景気が回復傾向にあるとの見解を示した。

 今回、景気判断の個別項目については、鉱工業生産の判断を、国内外の需要を背景に在庫調整が進んでいるとして「下げ止まっている」から「持ち直している」に上方修正。輸出についても「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」に判断を引き上げた。

 日銀は平成27年度を中心とする期間に消費者物価の上昇率2%を安定的に実現することを目指している。昨年10月末には、原油安で物価上昇期待が薄れるとの懸念が出たことから、追加緩和に踏み切った。

 その効果について、黒田総裁は「マイナスの効果があるとは全く思っていない。今後も政策を続けることで、累積的に経済・物価に対してプラス効果を持つ」と評価した。

 ただ、原油価格はその後も低い水準にあり、市場では、物価上昇率が今春にもマイナス圏に突っ込むとの予測もある。

 これに対し、黒田総裁は「原油価格下落による経済成長へのプラス効果も出てくる」とし、物価は次第に上向いてくるとの見方を強調。物価見通しが大きく狂うリスクが顕在化した場合など、「必要があれば躊(ちゅう)躇(ちょ)なく(緩和する)ということは変わらない」と、これまでの主張を繰り返す半面で、現時点ではさらなる追加緩和を検討する必要性はないと、市場の追加緩和期待にクギを刺した。

 一方、この日に本格的に始まった春闘交渉に関連し、黒田総裁は「企業収益は好調で労働市場は完全雇用に近い。賃金の上昇を実現する環境は整っている」と述べ、賃上げが経済の好循環を後押しすることに期待感を示した。

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