自民党本部で農協改革案の受け入れを伝え、記者団に囲まれるJA全中の万歳章会長=2月9日、東京・永田町【拡大】
■農協つぶしで農業は再生しない
2月28日が最終回だったNHKの土曜ドラマ「限界集落株式会社」を面白く視(み)た。27万部を売り上げた黒野伸一氏の同名のベストセラーが原作だ。
限界集落とは、65歳以上の高齢者が住民の半数を超え、文字通り廃村寸前の限界状態にある集落のことだ。中山間地や離島を中心に、過疎化や高齢化の進行で急速に増えている。
ドラマでは、田舎に立ち寄った経営コンサルタントが、地元で有機農業に執念を燃やす農家の父娘とともに村おこしに取り組む。その手法として村民による株式会社を興す。
だが、ドラマと小説では描き方が若干違う。小説では農協が村おこしの手ごわい「抵抗勢力」として描かれている点だ。
小説で主人公の一人は、こう訴える。
「農協支配から脱却しなけりゃ、生き残れない。独自の販路を開拓するんだ」
「何でもかんでもすべて農協に頼ってるから、結果的に高くつくんだ」
農家を助けるはずの農協が、販路拡大や資材購入面でもコスト削減に鈍感で、結果的に農家の足を引っ張っている-というのである。
◆違う全国紙と地方紙
折しも、安倍晋三政権が成長戦略の柱に位置づけてきた農協改革の方向性が固まった。岩盤規制打破の象徴として政府・自民党がまとめた改革案に全国農業協同組合中央会(JA全中)が押し切られた形だ。メディアはそう伝えている。改革の目玉は、農協グループに君臨してきたJA全中を一般社団法人に改め、約700ある全国の地域農協に対する経営指導や監査から手を引かせるとしたことだ。