日本原電敦賀原発の破砕帯をめぐり、調査団の評価書案に異論が相次いだプレビュー会合=2014年12月、東京都港区【拡大】
◆調査団の人選次第
昨年12月に開催された敦賀破砕帯に関するピアレビュー会合は、評価書案の本質的な矛盾を突いた指摘が相次いだ。「D-1破砕帯とK断層は別物ではないか」(岡田篤正・京大名誉教授=日本活断層学会会長)といった批判だ。
しかし、規制庁文書の「当該破砕帯を再評価するものではなく」に縛られたのか。座長が「あまり立ち入ってしまうと最初からやり直すかどうかという話になる。それは難しい」と制限を課す場面が目立った。まるで「聞き置く」とでも言わんばかりの態度だ。
評価書案への相次ぐ異論は、根本的な問題の存在を示唆している。それは「調査団の人選次第で結論は変わり得た」ということだ。筆者が取材した複数の専門家も「K断層とD-1破砕帯は同じものではない」と話している。K断層とD-1破砕帯の動き方は、大地に加わる力(応力場)が異なることが主な根拠だ。
敦賀破砕帯をめぐっては、少なくとも「一致した見解は見いだせていない」というのが妥当な状況認識ではないだろうか。
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【プロフィル】塚原晶大
つかはら・あきひろ 日大法卒。1999年電気新聞入社。エネルギー・原子力行政担当、電力業界担当、西部総局(大阪)勤務などを経て2014年4月から原子力規制・原子力政策などを担当。1975年生まれ、埼玉県出身。