政府がこうした規定を盛り込んだのは、株式会社化すれば、全農が売れる農産物の販売に注力するようになり、これが国内農業の競争力強化につながると考えたためだ。他企業との連携もしやすくなり、海外との取引拡大も期待できる。
全農は農家から集めた農産物を卸売会社に売ったり、農業に必要な資材を農家に販売したりする役割を担う。だが、農産物の品質に関わりなく同一の条件で販売するため、農家の意欲をそぎ、農業の成長を阻んできたとの批判も強かった。
一方、株式会社化は独占禁止法の適用除外から外れることも意味し、そうなれば農産物の独占的な集荷・販売ができなくなるほか、法人税の優遇措置も受けられなくなる。このため農協改革の議論でも全農は株式会社化に消極的な姿勢を示し、政府も株式会社化の義務付けにまで踏み込めなかった経緯がある。
成清理事長は企業などとの連携について「現在の組織でも十分対応は可能だ」と主張し、海外事業の拡大を進める方針を示した。現状の体制を維持しながら農業の成長産業化をどう実現していくのか。具体的なビジョンを問われるのは間違いない。