だがそうではなく、資源なき国の国産エネルギーである再生エネ・原子力の共存を図る「国産エネルギー政策」を推進すれば、再生エネコスト負担問題は解決に向かう。これは技術的課題ではない。政治の意志で解決できることだ。
原子力と再生エネについては「原子力◯◯%、風力◯◯%、太陽光◯◯%…」といった個別に細かな数字ではなく、「国産エネルギー(原子力+再生エネ)全体で◯◯~◯◯%、残りを輸入化石燃料(石炭+天然ガス+石油)全体で◯◯~◯◯%」と、幅のある概数で示すべきだ。一定の数値を決めても、どうせその通りにはならない。
過去の経緯や今後の日本のエネルギー安全保障やエネルギーコストを総合的に勘案すれば、30年数値目標は「(1)国産エネルギー(原子力+再生エネ)40~50%、(2)輸入化石燃料(石炭+天然ガス+石油)60~50%」というのがおおむね妥当な線だ。
◇
【プロフィル】石川和男
いしかわ・かずお 東大工卒、1989年通産省(現経済産業省)。各般の経済政策、エネルギー政策、産業政策、消費者政策に従事し2007年退官。09年東京財団上席研究員、政策研究大学院大学客員教授など歴任。11年から現職。1965年福岡県生まれ。