◆遠のく削減目標
なかでも2013年度の国内の温室効果ガス排出量は二酸化炭素(CO2)換算で14億800万トンと、過去2番目の高水準だった。政府は20年度までに05年度比3.8%減の削減目標を掲げているが、13年度は0.8%増と逆に遠ざかった。
この原因を、環境省幹部は「原発停止に加え、電力各社が石炭火力の稼働を増やしているからだ」と説明する。石炭火力は石油の3分の1と火力発電で最も発電コストが低く、資源を入手しやすい。
03年に東京電力が30年ぶりに石炭火力を復活させ、常陸那珂火力発電所(茨城県)の運転を開始。また、今年3月、九州電力と出光興産、東京ガスの3社が、2020年代中ごろの稼働を目指し、千葉県で大型の石炭火力を建設することで合意するなど、各社が石炭火力を増やしている。
ただ、石炭火力はCO2排出量が天然ガスの2倍以上あり、数ある発電方法のなかで最も多い。環境問題に詳しい自民党議員は「石炭火力の稼働を今後も増やすことになれば、いくら省エネ対策を努力しても帳消しになる」と危機感をあらわにする。
「実質的に余力はなく、まさに綱渡りだ」。
原発の再稼働が遅れる中、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は今夏の電力需給に懸念を募らせる。
経済産業省は4月16日、8月の電力需要に対する供給余力を示す「予備率」が沖縄電力を除く大手電力9社で、安定供給に最低限必要とされる3%を確保できる見通しを示した。家庭や企業の省エネが定着したことに加え、電力各社が火力発電所のフル稼働で供給力を確保したからだ。