それでも電力需給に余裕があるとは言い難い。仮に他社からの電力融通がなければ、関西電力の今年8月の予備率は0.8%、九州電力にいたってはマイナス2.3%だ。各社は火力発電所の修繕工事をぎりぎりまで先送りして供給力の確保につなげている。トラブルが起これば、たちまち需給は逼迫(ひっぱく)する。
電力各社は原発が停止した分を火力で補ってきたため、10年度は原発比率が28.6%、火力が61.7%だったのに対し、13年度は原発が1.0%に低下する一方、火力は88.3%まで比率が拡大した。日本は今、火力に依存する、いびつな電源構成になっている。
◆膨らむ燃料費
火力依存で電力各社の燃料費は増える傾向にある。電力10社の14年度の燃料費は約7兆3000億円と、10年度に比べて3兆7000億円増えた。東日本大震災前に比べ、燃料費は2倍以上も膨らんだ。
この結果、電気料金は震災前よりも家庭向けで2割、企業向けで3割程度上昇した。電気代の値上がりは、景気や生活にも深刻な影響を及ぼす。既に企業からは「売り場などの節電は限界で、これ以上の経費上昇は経営的に厳しい」(大阪府の百貨店)と悲鳴が上がる。
日本原子力産業協会の今井敬会長は「(火力発電向け燃料の輸入増加で)年間4兆円の国富が流出して、1億トンを超えるCO2の排出増加につながった」と、原発稼働停止の弊害を訴える。
火力だけに頼っていては環境負荷が増えるだけでなく、日本経済にも大きな打撃となる。
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この連載は大柳聡庸、宇野貴文、田辺裕晶が担当しました。