浙江省寧波市の農村部では4月、同市で初めて阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング)の農村向けサービス「農村淘宝」が始まった(中国新聞社)【拡大】
今年初めに北京市の企業がスタートさせた農村物流サービス“一元宅配”が現在、山東省済寧市嘉祥県でブームとなっている。小さい荷物に対し、わずか1元(約19円)を支払うだけで、距離の長さにかかわらず農村の物流センターから各自宅まで届けてくれるというこのサービス。農村物流の「ラストワンマイル」の穴を埋めただけでなく、インターネットショッピングの“対象外エリア”をなくすことにも貢献している。
近年、中国では電子商取引(EC)大手が次々と農村市場の開拓に着手。各業界も注目する中、商務省も今年、農村でのEC発展を強力に推し進めていく方針を明らかにしている。
都市部で市場競争激化にさらされている宅配業者も、農村部の住民の収入増や道路、インターネットをはじめとするインフラ設備の発展がもたらしたネットショッピングの拡大により、農村との結びつきを強めている。
都市部と同様、農村も内需を支える重要な市場だ。各業界に発展の可能性を提供すると同時に、多くの雇用機会も創出できる。経済成長は“新常態(ニューノーマル)”に入っており、安定成長と構造調整をバランスよく進めるためにも欠くことのできない市場といえるだろう。
現時点では、ネットショッピング全体に占める農村部の消費割合はさほど大きくない。しかし、販売業者や宅配などのサービス業者は口をそろえて「未開発の巨大市場だ」と話し、需要の大きさは軽視できない。
また、新型都市化を推し進める中国で、今後改善されていくであろう農村部のインフラ設備や生産体制、配送、アフターサービスといった各項目すべてが経済成長につながっており、雇用機会の拡大においても重要な意味をもっている。
数億人という巨大な消費グループを相手にするとき、農村市場を開墾してこそ、やりがいを感じることができるだろう。(経済日報=中国新聞社)