「実際に人とちゃんと向き合い、こちらが狙う経験をしてもらうのはとても難しい。だから逆に映像を用意した運営は楽なのですよ。だいたい3D的な映像と大音響で人を驚かすのはメッセージを伝える手法として古いと思います」
こう語るのは5月1日に開幕したミラノ万博のオランダ館のデザイナーだ。
通常、万博というのは各国パビリオンの建築の競い合いになる傾向にある。目立つ外観と意外な空間の展開。それが話題をひっぱる要素として必要でないわけではない(今回のブラジル館にある人が歩ける大きなネットは、その一例)。しかし、あまりにコンテンツとバランスが悪いとパビリオンの中に入って期待外れだ。
オランダ館に大げさな建築はない。メインはテントのある飲食スペースの周りにある並ぶストリートフードの屋台だ。奥に屋内のレストランもあるが、展示の中心が、このストリートフードの世界である。どこかの遊園地を想起させるシーンだ。
一方、「経験」「シェア」「コミュニティ」というキーワードが世の中では飛び交うが、それらの言葉が意味することをリアルに経験するのは殊の外、難しい。ソーシャルメディア上では、画像や動画を共有して「いいね!」をつけてその気になっているが、リアルな世界で同じような感覚はなかなか持てない。
その点にオランダ館のチームは勝負をかけたわけだ。でも、こんなチャレンジを保守的な官僚組織がよくぞ承認した、と疑問に思った。
どんな決定プロセスがあったのだろう。