3年前に政府がミラノ万博不参加を決めた。しかしオランダにとって食や農業は重要な経済推進力で、食の産業・研究集積地域もある。昨年の夏ごろから「このオランダが食をテーマにしたミラノ万博に参加しないのは、あまりに不自然ではないのか?」との論議が民間で活発化してきた。
そこから規定の枠や世代の壁を越えて、政府機関へ具体的な提案をもって働きかける。最終的に政府がかつての決定をひっくり返したのは年末である。つまり正式決定から実施まで数カ月しかないところで、会場レイアウトから資金集めまでのすべてをこなす羽目になった。
オランダの食体験の強みをポイントにおいたパビリオンを短期間で実現するには建築空間を頼りにせず、コンテンツのアイデア勝負で立ち向かうしかない。コンペなどやっている時間はない。
したがって、今回のパビリオンはコンペの結果ではない。政府機関もストリートフードのコンセプトに即時OKといったわけではないが、ふつうの案件からみれば圧倒的にスムーズにいった。
「我々の国はそう大きくないということもあるけど、色々な分野やレイヤーと接点を持ちやすい」ともともとオランダの社会にある「オープネス(風通しの良さ)」が、今回のプロジェクトのキーであるとデザイナーは強調している。