環境省が山口県で計画されている大型石炭火力発電所の建設に慎重な姿勢を示したことで、電力各社は対応に苦慮しそうだ。業界からは、原発の再稼働が進まない中、割安な石炭火力の増設計画を見直したくない本音も見え隠れする。
「新電力(新規参入業者)も含めた、業界全体としての削減目標をできるだけ早く示す」。電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は12日の会見で、こう述べた。
環境省は、約2年前に業界全体の枠組みを作るよう求めていた。今月、政府が温室効果ガスの削減目標を決めたことで、電事連として「(枠組み作りの)作業をできる環境になった」(八木会長)。
足元で石炭火力の増設計画が相次いでいるのは、原発再稼働が見通せない中、石炭火力の発電コストが他の火力に比べて低いからだ。16年4月からの電力小売りの完全自由化を控え、電源確保のための「駆け込み的」(市場関係者)な建設計画も相次いでいる。