ただ、計画中の石炭火力の設備容量は、少なくとも1300万キロワットに上る。国内の既存の設備容量計約4000万キロワットと合わせると「30年時点で、総発電量に占める石炭火力の割合を26%にする」という政府の目標値を超えてしまう。環境省はこうした事実に危機意識を持っている。電力各社は今後、石炭火力の進め方を大幅に見直さなければならない可能性もある。
原発停止が長引く中、電力10社の経営は綱渡りが続いている。15年3月期連結決算は関電など3社を除く7社が経常黒字だったが、火力発電所の修繕先送りによるコスト削減などの効果が大きく、「継続的に黒字にできる状況ではない」(東電の広瀬直己社長)。
このため、低コストの石炭火力の増設は「電源の多様化を進める上で重要」(八木会長)でもある。今後は、温室効果ガスの排出を抑えられる最新鋭設備の開発を加速することも不可欠となりそうだ。(山口暢彦)