□経団連・経済外交委員長 大林剛郎氏(大林組会長)
◆世界に拡大・波及するリスク
近年、テロをはじめ、洪水・ハリケーンなど自然災害の激化やエボラ出血熱など感染症の拡大、サイバー攻撃といった、これまでにない多様なリスクが世界各地に拡大、波及している。特にテロに関しては、中東・アフリカのような紛争地域のみならず、オタワやシドニー、パリなど先進国の諸都市でもその脅威が現実のものとなった。多くの日本企業が世界各地で事業を展開するわが国にとって、テロは決して対岸の火事ではない。経済活動の大前提である平和と安定を維持することは、日本企業がグローバルにビジネスを推進していく上で極めて重要な課題である。
私が委員長を務める経団連の経済外交委員会では、わが国経済外交のあり方、とりわけテロや紛争時の在外邦人の保護や企業の危機管理、政府における体制整備や官民連携のあり方などにつき、政策提言を取りまとめ、安倍総理をはじめ政府関係者にその実行を要望した。
本稿では、特に危機管理やテロ対策といった側面に焦点を当て、経済界の考え方を紹介したい。
◆経済界におけるリスク認識
経団連が会員企業を対象に実施したアンケートによれば、「今後、自社の事業に影響を与えると考えられるリスク」という問いに対し、「政情不安・暴動」「反日感情の高まり」と回答する企業が多数あった。さらにアンケートに回答した企業の多くが海外での事業活動の中で実際にリスクに直面している。
在外日本企業・邦人の保護対策は、わが国として万全を期すべき最優先課題である。われわれ民間企業が平時より危機管理に万全を期すことはもちろんだが、自助努力による対応では限界がある領域については、政府の積極的な支援が必要不可欠である。