◆在外日本企業・邦人の保護拡充
政府には、在外日本企業・邦人の保護対策に向けてさまざまな取り組みを要望している。中でも強調したいのは、テロ・暴動など、危険地域の治安情勢に関する確度の高い情報収集・分析、および民間企業との緊密な情報共有の実施である。現地在外公館が有する情報と、民間企業が現地の合弁企業や取引先等から収集する情報を互いに共有することで、安全対策に資する情報の質と量が増大することは疑問の余地がない。
また、専門的なノウハウ・スキルを備えた危機管理担当官の常駐ポストを拡充することも必要である。各国の在外公館がテロ集団に直接襲撃されるような事例を見るにつけ、危機管理を専門とする担当官が常駐し、当該国の治安当局や欧米各国の駐在武官と緊密な関係を構築することで、高度な情報の収集・分析、治安当局との調整を遂行する必要性が高まっている。こうした役割は、民間企業には担い得ないものであり、政府の役割が極めて重要である。
加えて、現在、政府の側でも官民連携を重視した動きがある。わが国のテロ対策当局である法務省・公安調査庁は、国際テロの情勢や主要なテロ組織の動向をまとめた「国際テロリズム要覧」を発刊し、関係各所への情報発信を積極的に行っている。経団連でも、上川陽子法務相や野々上尚公安調査庁長官と意見交換を行ったが、政府でも、情報共有をはじめとする一層の官民連携の重要性を認識されていた。昨今の安全保障上の環境変化を受けて、危機意識が高まっていることを感じ、心強い。