新国立競技場のイメージ(日本スポーツ振興センター提供)【拡大】
当初1億3400万カナダドルの見積もりでスタートしたスタジアムの建設は、オリンピックの開催までに2億6400万カナダドル(当時の為替レートでは約790億円)と見積もりの2倍もの金額が投入されており、その後の建設・改修・修復費用に金利を加えると最終的には16億1000万カナダドルに上ったという。
◆増税で補填
これらの負担を、モントリオール市と市が所在するケベック州政府が共同で弁済し終わったのは、オリンピック開催から30年後の2006年11月であった。その財源は当然住民から調達、すなわち「増税」ということになるわけで、市は不動産税などを、州はたばこ税などを、それぞれ増税することによって補填(ほてん)したのである。
筆者は、1983年から89年まで6年半、モントリオールに在住した。当初は屋根のない「O(オー)」の字の姿を見せていたオリンピック・スタジアムには、同スタジアムをホーム球場とするMLB「モントリオール・エクスポズ」の試合を何度か観戦しに行った。そのビッグ・オーにオレンジ色のケブラー生地の「平たい帽子」のような「屋根」がついたときには言いようのない違和感を覚えたものである。ちなみに、現在の屋根は98年に2600万カナダドルをかけて再設置された淡い水色のテフロン加工を施したガラス繊維の生地による固定屋根となっている。
生活面で当時はヘビースモーカーであったので「たばこがえらく高いな」と感じた。為替レートが今とは異なるとはいえ、単純換算すると日本の3倍という高額商品を次々と煙にしていた。今にして思えば、ケベック州とモントリオール市の財政負担の軽減に大いに貢献していたわけである。