GDPの公表を受けた15日の上海株式市場は、政府の株価維持策にもかかわらず、代表的な上海総合指数の終値が前日比約3%安と下落した。投資家の間には成長率が7%を下回るとの事前予想も多かっただけに当局がデータを操作したとの疑念までくすぶる。
経済同友会の小林喜光代表幹事も28日の会見で、「電機などのモノづくりと輸出については(7%成長の)レベルには達しておらず、変調している可能性もある」と述べ、数値よりも実体経済は悪化しているとみる。
人件費の上昇や人民元高で、「世界の工場」からの脱皮を迫られる中、過剰設備や不動産バブルなどの構造問題を抱えたまま金融自由化を加速させれば、中国経済は海外への資本流出を招く恐れもある。
「経済が低迷すれば通貨の信認は下がり、その通貨は受け取られにくくなる」と、国際金融情報センターの加藤隆俊理事長は金融資本取引の原則を説く。習政権が目指す「新常態(ニューノーマル)」の安定成長の行方とともに、人民元の実力はまだ定まっていない。