爆発が起きたエラワン廟付近(右下)。隣はグランドハイアットホテル。高架鉄道(BTS)のチットロム駅も近く日本人観光客も多い(AP)【拡大】
バンコクで17日に発生した爆弾テロ事件は、景気回復が遅れるタイ経済の先行きにさらなる懸念を投げかけている。仮に軍政が来年に予定されている民政移管に向けた総選挙の実施を、治安悪化を理由に遅らせた場合、タイ国民の間でプラユット政権に対する不満が拡大する可能性は高い。
プラウィット副首相兼国防相はロイター通信に対し「爆発は観光客でにぎわう場所で起きており、タイの観光業や経済を狙ったものとみられる」と語ったが、いうまでもなく、今回の事件は軍政移管後、低迷が続くタイ経済に深刻な影響を与えるのは確実だ。
◆成長のシンボル地域
現場となったエラワン廟があるラチャプラソン交差点周辺は、伊勢丹バンコクやセントラルワールド、ゲイソンプラザといった高級ショッピングモールやグランドハイアットやインターコンチネンタルなどの高級ホテルが立ち並び、富裕層や多くの外国人観光客が訪れる場所だ。まさにタイの経済成長のシンボルともいえる地域だ。
2010年にはタクシン元首相を支持する赤シャツ集団が、反政府デモの拠点として、同交差点を長期間占拠した。その結果、バンコクを訪れる観光客は激減し、タイ経済は深刻なダメージを受けた。
タイ国軍が国際的な批判を覚悟でクーデターを起こし、軍政に移管したのも、タクシン派と反タクシン派の対立で改善の兆しがみえないタイ経済の立て直しと治安の回復に取り組むためとしていた。
しかし、今回のテロ事件は軍政が自賛していた治安の回復と維持も、実態はうまく行っていないことを示す結果となった。強権だけでは治安を長期間維持することは容易ではない。相互信頼、国民の和解と融和を早期に実現することが必要となる。