ほど遠い「2%」
大規模金融緩和に取り組む日銀は「2016年度前半頃に物価上昇率2%」の目標を掲げるが、足元の物価上昇率はほぼ横ばい。原油安で下落に転じる事態になれば日銀の「脱デフレ」シナリオは大きく狂う。
明治安田生命保険が20日公表した経済見通しによると、16年度は0.7%の物価上昇にとどまるとしており、2%にはほど遠い。同社の信本将己氏は「『打つ手を失った』との失望感が広がらないよう、日銀は来年早々にも追加緩和に踏み切らざるを得ない」と語る。(藤原章裕、山口暢彦)
■原油安の日本企業への影響
【プラス】
1トン当たり1ドル下がれば日本郵船が1億円、商船三井が1億2000万円、川崎汽船が9000万円の増益。1バレル当たり1ドル下がればANAは32億円の増益
【マイナス】
1バレル当たり1ドル下がれば三井物産は27億円の減益。原油安の長期化でJXは在庫評価損の可能性