韓国空軍の主力戦闘機F-15K(韓国空軍公式HPより)【拡大】
落ちてゆく士気
「辞めようか」と思わせる材料はまだある。軍内部の士気の低下だ。
10年11月23日、北朝鮮が韓国の延坪島(ヨンピョンド)を突然砲撃し、韓国軍海兵隊員や民間人が死傷した延坪島砲撃事件では、陸軍の自走砲が反撃したものの故障し、陣地に直撃弾を受けるなど韓国軍は一方的に叩(たた)かれた。この際、空軍の主力戦闘機F-15KとKF-16も出撃したが、攻撃命令が出ずに引き返している。
これについて、中央日報(電子版)は当時行われた参謀本部の作戦会議に触れ「ある大佐は戦闘機で爆撃するべきだと意見を述べたが、韓民求(ハン・ミング)国防部長官は最後まで決断できなかった」と指摘し、「事実上、彼(国防部長官)は敗将だ」と厳しく批判した。
マスコミから“腑抜(ふぬ)け扱い”されてしまったのだが、そんな上司でも軍の内部では絶対服従が通例だ。しかも戦時作戦統制権は朝鮮戦争以来、事実上米軍が握っている。戦火の拡大につながるような重大行動は、米国の意向をうかがわなければならない。