■ボタン掛け違い、日米の交渉混迷
「日本が交渉をリードすることで、最善の結果を得ることができた」。大筋合意した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について、安倍晋三首相は6日の会見でこう評した。日本の交渉参加から2年余り。曲折を経た難交渉は“ボタンの掛け違い”から始まった。難航したTPP交渉の舞台裏を振り返り、今後の課題を探る。
◆「相手として失格」
「日米ともに2国間貿易上のセンシティビティー(慎重な検討を要する重要品目)が存在する」「交渉参加に際し、全ての関税撤廃をあらかじめ約束することを求められるものではない」。2013年2月に行われた日米首脳会談の共同声明に盛り込まれた文章。安倍首相は会談後の記者会見で、TPPに関し「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」と説明し、同年3月に交渉への参加を表明。4カ月後の7月、日本はマレーシアでの首席交渉官会合に初めて合流した。
前年の衆院選で政権復帰を果たした自民党は、選挙時に「聖域なき関税撤廃を前提とする限り交渉参加に反対」とする公約を掲げていた。TPPに合流した日本側は関税撤廃をめぐり、「例外」があることを認めさせたとの認識だった。
だが、米国側の解釈は違った。日本が関税を守りたい「聖域」と位置付けたコメなど重要農産品5分野について、容赦のない関税撤廃要求を突きつけた。「聖域を維持するとは書かれていないというのが米国側の言い分」(交渉筋)だった。