「品質と安全性を求める芽室の牛を国外の消費者に届けたい」と大野ファームの大野泰裕社長は意気込む=北海道芽室町(西村利也撮影)【拡大】
◆政府も幅広く支援
「政府全体で国内対策を取りまとめ、万全の措置を講じていく」。安倍晋三首相は6日、TPP交渉の大筋合意を受けて官邸で記者会見し、農業対策に注力する意向を示した。
全閣僚がメンバーとなって農業分野などの国内対応を取りまとめる「TPP総合対策本部」を近く設置する。
対策はコメの無関税輸入枠の新設に伴い、国内の流通量が増加して米価下落につながらないよう、政府備蓄米の買い入れ量を大幅に増やすほか、牛・豚肉や乳製品を手掛ける農家への支援を含めた幅広い対策になる見通しだ。ただ、農家の平均年齢が66歳を超え、耕作放棄地が滋賀県の面積に匹敵する40万ヘクタールまで拡大するなど、国内農業は衰退の一途をたどっている。このままではTPPを待つまでもなく壊滅しかねない状況だ。
対症療法に終わることなく、意欲のある農家を後押しして、海外との競争に勝てる農業を育てることが急務となる。(この企画はワシントン=小雲規生、西村利也、本田誠が担当しました)