財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は9日、国と地方を合わせた財政の長期試算を公表した。平成32年度に対国内総生産(GDP)比で基礎的財政収支が黒字化した場合など5つのケースを示したが、33年度以降も収支の改善がなければ、いずれも債務は72年度にGDPの5倍以上に膨らむと推計した。財政破綻は確実だとする内容で、社会保障費の抑制などの歳出改革に加えて、行間から一段の消費税増税など歳入増の必要を大いににじませた。
長期試算では、高齢化に伴う社会保障費の増大などによって、国と地方の借金はさらに膨らむ傾向にあると指摘した。政府が目標とする基礎的財政収支の黒字化を32年度に達成した場合でも、赤字のままでも、その後に収支改善の取り組みがなければ、借金は膨れあがるとしている。
いずれのシナリオでも、借金の膨張を抑えるには高齢化に伴う歳出増に対する構造改革が不可欠で、試算では32年度にGDPに対し2・46~11・12%の収支改善が必要とした。この収支改善幅は、ドイツやフランスなどの欧州諸国よりおおむね高い水準だという。
また「中長期的な収支改善のため歳出だけでなく歳入の面からも議論が必要だ」との見解が示された。
今回の試算について第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは「将来的には消費税率を少なくとも経済協力開発機構(OECD)諸国並みの15%程度に引き上げることが必要ということを示した」と解説した。
会合後、記者会見した財政審の吉川洋会長(東大院教授)は「債務残高がGDP比で膨張していくというのは破綻するということだ。それは避けないといけない」と述べた。