日銀の新しい決済システム「新日銀ネット」の全面稼働から一夜明けた14日、担当する山岡浩巳・決済機構局長が記者会見し、来年2月に稼働時間が午前8時半~午後9時に延びることについて、「欧米の決済システムは24時間稼働に近く、(新日銀ネットも)さらなる延長が可能か検討したい」と語った。
来年2月にはアジア全域の取引時間をほぼ網羅するだけでなく、欧州市場の午前中の取引時間をカバーできるようになる。アジア全域と日本の間で円建ての即日送金が可能になるだけでなく、欧州市場で日本国債を担保にした当日中の外貨調達(借り入れ)も可能になる。
これまで日銀ネットは海外の取引時間に稼働しておらず、「日本国債は即時決済できない」と取引を拒否されるケースが多かった。当日中の決済が可能になれば、日本国債の担保価値が向上しそうだ。山岡氏は「日本国債を担保にする邦銀が、海外の現地通貨を借りやすくなる」と新システムのメリットを強調した。
ただ、多くの日系企業が進出する米国の取引時間まではカバーできない。稼働時間も米国の21時間半、欧州の22時間半に対し、新日銀ネットは12時間半にとどまる。山岡氏は「これで終わりにするつもりはなく、邦銀と対話を重ねる」と説明した。
日銀ネットは銀行や証券会社など約500社が利用しており、昨年は当座預金で一日平均125兆円、国債で101兆円が決済されている。
山岡氏は稼働時間の延長後について「稼働時間に比例して取引が増えるのか、(取引額は変わらず)取引の時間帯が分散するのか分かりにくい」と述べるにとどめた。