リコー・近藤史朗会長【拡大】
こうした考えの下、経団連として、マイナンバー制度の実務への円滑な導入を重視し、通知の1年前となる昨年10月から、会員企業向けの周知に取り組んできた。企業にとってマイナンバーの導入は新たな負荷になるが、それが過大なものにならないように、実務に即した運用を可能とすることを政府に求めてきた経緯もある。これから、いよいよ従業員がマイナンバーを会社に知らせる段階に入り、管理体制を含めた実務導入が本格化する。
全ての国民や事業者に関係することであり、政府には、制度開始後も、国民・事業者向けの分かりやすい広報活動を継続していただきたい。特に厚生年金・健康保険関係の申請書への記入は1年遅れの2017年から始まることなど、十分な周知期間をもって、全国津々浦々にしっかりと知らせていくことが重要である。
官民を挙げてマイナンバー制度を導入するのには、高齢化社会への対応に効果を期待するという側面もある。わが国が直面している社会保障を含む課題への対策は、財政健全化を踏まえた持続可能なものでなければならない。高齢者向けの社会保障給付が急速な勢いで増えていく中、多くの国民にとって公正・公平と認められる制度が必要であり、そのための政策立案にマイナンバー制度を基盤とする情報通信技術を活用することはできないか。
そのためには、国民の理解を得ることも重要である。内閣府の世論調査結果では、プライバシーや個人情報に関する懸念が大きい。国にとって、今後、国民へのメリットをいかに伝えていくかが課題となる。役所に提出する添付書類が少なくなるだけでは、国民の理解は十分に得られないだろう。