それは円安によって、輸出系を中心に日本企業の収益がかさ上げされることだ。収益の上積みは、賃上げ原資の厚みが増すことを意味する。その結果、製造業を中心に3年連続の賃上げが期待でき、その増加幅が拡大する余地を生み出す。
賃上げが実現できそうになれば、物価上昇への期待も維持され、所得から支出へのプラスの循環メカニズムが活発化する可能性が出てくる。
こういう状況の下で、日銀は現在のQQE政策の効果を見極める時間的な余裕を得ることになるだろう。円安が進めば、株高が進展し、上値が重くなってきた日経平均株価が2万円を突破する可能性を高める。
株高は企業心理を好転させ、株式を保有する高額所得者の消費心理を刺激し、そのルートで内需をサポートする可能性がある。
日銀は、こうした複数のルートによる景気刺激効果を見守りつつ、物価上昇の基調がどのように推移するのか、じっくり見守ることができるようになるだろう。