【TPP首脳会合】TPPは安全保障でも効果、シーレーン・ダイヤモンド構想推進で中国の軍事覇権抑止

2015.11.19 08:23

 【マニラ=坂本一之】安倍晋三首相とオバマ米大統領は18日、フィリピンで開かれた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)首脳会合で、固い握手を交わした。TPPは交渉を牽引(けんいん)してきた日米の同盟関係を強化するだけでなく、緊密な経済関係が地域の安定を促進することから、安全保障面でも大きな役割を果たす。政府はこの点を重視し、高圧的な海洋進出で覇権拡大を目指す中国にブレーキをかけたい考えだ。

 安倍首相は会合で、TPPの意義について「経済的相互依存関係を深め、その輪を広げていくことはアジア太平洋地域の安定に資する」と各国首脳に訴えた。

 TPPによって域内では人・モノ・カネが行き交うだけでなく、行政ルールの統一も行われることから、加盟国は互いに支え合う形になる。外交筋は「加盟国間で安全保障上のトラブルがあっても、経済を重視して平和的なプロセスを志向するようになる」と指摘。貿易に不可欠な海上交通路(シーレーン)の安定も各国共通の利益となり、中国などの軍事圧力に対し、連携して押さえ込む国際世論を形成できる。

 こうした効果は、首相が唱える日本と米ハワイ、豪州、インドをひし形に結ぶ「安全保障のダイヤモンド構想」による面的な抑止力の強化にも貢献する。東シナ海の尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で領海侵入を繰り返す中国は、南シナ海でも軍事拠点化を進めているが、元米国務省幹部は「中国の覇権拡大を止める有効な手立てがないの実態」と漏らす。このため、政府は米国と連携して中国に対する国際世論の圧力を高めたり、中国をTPPに巻き込んだりすることで、中国を融和的な姿勢に転換させることをもくろんでいる。

 議長役のオバマ大統領は会合で、「安倍首相のリーダーシップでTPP合意が達成されたと言ってもいい」と首相の手腕に期待を表明した。

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