訪日外国人旅行者を増やすため、受け入れ態勢拡充を検討する構想会議の初会合であいさつする安倍晋三首相。右隣は石井啓一国土交通相=11月9日、首相官邸【拡大】
背景には、民泊をめぐるトラブルの急増がある。投資目的の購入や、“また貸し”されたマンションが、民泊に利用されているケースが少なからず見受けられ、ごみ出しや夜間の騒音などで、周辺住民とのトラブルが頻発しているというのだ。
7月下旬には、東京都渋谷区のマンションで、観光のため母親と民泊していた中国人の女の子(4つ)が、12階のベランダから転落死する痛ましい事故も起きている。
有料で宿泊施設を他人に提供する場合、通常は旅館業法に基づく許可が必要だ。宿泊客の安全・安心を確保するためで、防火設備やフロントの設置などが義務付けられている。
その観点から見れば、一部特区での試行的な営業をのぞき、民泊のほとんどは違法という。それでも、東京や大阪など大都市圏では、ホテルや旅館の客室不足からインターネットを介した民泊が拡大している。
厚生労働省が先月明らかにした初の調査では、ヤミ営業にあたるとして自治体が指導したケースは、2014年度で131件。前年度の62件と比べると倍増のハイペースだが、これとて氷山の一角にすぎないという。
国際テロの脅威が高まる中で、テロリストや不法滞在者がアジトにしたり、振り込め詐欺などの違法な営業活動の拠点に使われたりする恐れもあり、慎重論の背景になっている。
しかし、違法行為と民泊本来の狙いを同一次元で論じるのは間違いだ。重要なのは、規制緩和が犯罪行為につながらないよう、しっかりとしたルール作りを行うことだ。