しかし、政府が緊縮財政路線に固執している限り、GDPの6割を占める家計の需要は増えない。そんなビジネス環境で、経営者がそろって雇用や投資に手元資金を振り向けるだろうか。
何事もグローバル化の時代である。上場企業株式全体の35%以上を保有する海外株主が「余ったカネは株主配当に回せ」と要求するのをはねつけられる大企業経営者が存在するだろうか。
政府・与党は再来年4月の消費税率再引き上げに向け、食料品を対象に軽減税率の適用を検討している。低所得層の負担の重さを考慮すれば、軽減税率は当然だ。加工食品をどこまで含めるかなどが焦点になっているが、幻惑されてはならない。それでも増税=緊縮には違いないのだ。
海外からくるリスクも無視できない。中国景気の大減速は世界に波及している。米連邦準備制度理事会(FRB)が今月中旬に利上げに踏み切るとの観測で、新興国、欧州などから資金の逃避が加速している。そんな情勢のもとで、緊縮財政路線に乗ったまま、GDPをあと5年で110兆円増やせるとは、とても思えない。