【ワシントン=小雲規生】米製薬大手ファイザーが昨年11月に発表したアイルランド企業との合併が、大企業による「課税逃れ合併」への批判に火をつけている。合併後の新会社は書類上の所在地を法人税率の低いアイルランドに移す方針だが、米国内からは「米企業としての納税責任を果たすべきだ」との反発が噴出。課税逃れの合併について、オバマ政権は効果的な抑止策を打ち出せておらず、大統領選の争点にもなっている。
「今すぐ行動を起こさなければファイザーのような合併が米国の課税対象を減らしていく」。大統領選で民主党からの候補者指名が有力視されるヒラリー・クリントン前国務長官は昨年12月8日の声明で課税逃れ合併を厳しく批判した。
ファイザーは売上高が合併相手の3倍以上で、新会社の社名もファイザー。最高経営責任者(CEO)にはファイザーのリードCEOが就き、経営本部はニューヨークに置かれる。
それにも関わらず新会社の所在地がアイルランドになるのは税制を考慮した結果とみられる。米メディアによると、ファイザーは所在地を米国からアイルランドに移せば、実効税率を現在の約25%から20%未満に減らせる見込みだ。