【産経前ソウル支局長判決詳報(下)】加藤前支局長の主張を次々退けた末に裁判長が放った一言は… (9/13ページ)

 裁判長「被告人の見方が韓国国民として受け入れ難いからといって、被告人が日本の正当なメディアの外信記者として、韓国の政治や社会的関心事案を日本の国民に伝達する役割を遂行することではないとはいえない。上記記事は全て、基本的に韓国の政治や社会的関心事案と、それに対する記者としての被告人の見方を日本人に伝達しようとした意図で作成されたものとみられる」

 「本件記事を作成した主たる目的もまた、以前の記事を作成した際と同様、セウォル号事故に関連した韓国の政治状況を伝達しようとしていたものと思われる。記事を作成した目的が噂の内容が事実であることや、噂が存在する事実自体を伝達しようとしていたものだとは断定し難い」

 コラムを書いた目的は「重大事故当時の朴大統領が置かれた政治状況を日本の読者に伝えるためだった」という加藤前支局長の言い分を認めた。

 噂の言及は「付随的」

 李裁判長による判決読み上げは、最も重要な箇所に差しかかった。

 裁判長「本件記事は、虚偽の事実を摘示している。しかし、その表現方法は第三者の言葉と報道を引用する伝聞や推測する形で、噂の内容が事実であると断定してはいなかった」

 「記事作成当時、韓国で政治・社会的に最も大きな関心事案であったセウォル号事故と、これに関連した政界の攻防を言及し、付随的に噂の内容を言及したものと考えられる」

「つまり、日本人である被告人が記事で批判しようとしていたり」