首都ジャカルタのビジネス街に隣接する地区で遊ぶ子供たち。インドネシアは貧困問題の解決を目指している(AP)【拡大】
インドネシアは、経済成長が続く一方で格差が拡大している。世界銀行は、同国の総人口2億5000万のおよそ8割に相当する約2億人が貧困ラインの月収約33万8000ルピア(約2870円)の下層に位置し、上位10%にあたる富裕層との格差が「東アジア最速」の勢いで拡大しつつあると報告した。現地紙ジャカルタ・ポストなどが報じた。
世銀は、インドネシアにおける過去10年の経済成長の恩恵が所得上位20%に集中し、残りの80%が取り残された状態だと指摘。格差拡大の要因が「機会の不平等」「仕事の不平等」「富の集中」「貧困層の疲弊」にあると分析した。
世銀の報告によると、2003年から10年までの間、上位10%の富裕層の所得増加ペースは下位40%の貧困層の3倍に達したほか、同期間の1人当たり年間消費の増加率も上位10%が平均6%だったのに対し、下位40%は2%。02年以降の貧困層の減少率は、人数ベースで2%にとどまったという。
また、都市と地方の成長格差も拡大しており、首都ジャカルタで衛生施設を利用できない環境にある子供の割合は6%だが、東部パプア州の一部では98%に達した。世銀は、こうした環境の差が都市と地方の栄養状態や教育の格差にもつながっていると指摘した。
世銀は、インドネシアの0~1の数字で格差を測るジニ係数(0が完全な平等を示す)が00年の0.3から14年には同国としては過去最高水準の0.41まで上昇したと指摘している。また、生活環境に格差が生じ、富裕層への富の集中が加速したことで、インドネシアの経済的な不平等は、「東アジア地域の国々のなかで最も速いペースで拡大している」という。