台風の直撃に備えて避難した子供たち=フィリピン・ルソン島南部レガスピ(AP)【拡大】
また、昨年12月にも大型台風27号(同ノナ)の直撃を受け、地滑りが発生して70万人超が避難する事態となったばかりだ。世銀は、フィリピンにはさらに火山の噴火や地震といった自然災害が発生する可能性もあると指摘。こうした災害への対応策を講じなければ、長年をかけて培ってきた経済成長の成果が損なわれ、数百万人が貧困層に転落する恐れがあるとしている。
フィリピン政府も災害が自国経済の成長リスクであることを認識しており、取り組みを強化している。財務省は、これまでの災害時に速やかに財政出動ができなかったために対応が後手に回ったとし、地方政府への資金拠出方法の見直しなど、災害に強い財政づくりを目指している。
またアキノ大統領も、昨年12月に公共の建物を中心に災害に強いものに切り替えていく必要があると訴えた。堅調な経済成長を続けるフィリピンが今後、どのように自然災害と向き合っていくか、6月に就任予定の新大統領の施策も注目される。(シンガポール支局)