2015年の貿易収支の赤字額が大幅に縮小したのは、原油安で輸入額が低く抑えられたからだ。足元の原油価格は下落基調にあり、当面は収支が黒字になる可能性もある。その半面、中国など新興国経済の減速で輸出が目減りするリスクも顕在化し始めており、貿易黒字化が定着するかは見通しにくい。
15年の原油の輸入額は8兆1836億円で、前年から4割以上も縮小した。昨年の貿易収支の赤字額が改善した理由はそれだけでほぼ説明がつく。というのも、東日本大震災後に運転停止した原発の代替として、原油高と円安の中で火力発電の稼働比率を増やした結果、原油輸入額が拡大し、貿易収支の赤字額を膨張させていたからだ。
16年に入っても、原油相場はさらに下げ足を強めており、第一生命経済研究所の高橋大輝副主任エコノミストは「原油安に伴う輸入金額の減少を背景に、足元の貿易収支は黒字方向への推移になっていくだろう」と分析している。