【ワシントン=小雲規生】米連邦準備制度理事会(FRB)は27日、連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を年0・25~0・5%とする現在の金融政策を維持することを決めた。FOMC後に発表した声明では「経済成長は昨年末に減速した」として景気認識を下方修正。昨年12月に9年半ぶりの利上げに踏み切った後に世界の金融市場が混乱したことを踏まえ、米国経済への影響を注視するとした。
FRBは昨年12月の声明では米国経済について「緩やかに拡大している」としていた。今回の声明では個人消費や雇用については改善が続いているとしたが、景気の下押し要因として純輸出や在庫投資の減速を指摘。今後の利上げのペースは緩やかなものになるとの考えを改めて強調した。
一方、物価上昇率がFRBが目標とする2%を大きく割り込んでいる状況については、原油安の進展などを理由に「短期的には低い状況が続く」と分析した。しかし原油安やドル高による輸入物価の押し下げ効果が薄まれば、中期的には物価上昇率が2%に向かうとの見方も維持した。
また声明は「世界経済や金融市場の動向が雇用、物価、リスクのバランスに与える影響について慎重に吟味する」とも言及。利上げ開始以降、外国為替市場では円を除く主要通貨でドル高が進行し、中国株式市場の急落や原油安の進展に見舞われていることを踏まえたものだ。
しかし声明は3月の次回FOMCでの利上げを完全に否定する内容とはいえず、市場では金融市場のさらなる混乱を懸念する声も出ている。