「春は二度と来ない」「すでに退路なし」 中国政府系シンクタンクが異例の弱気 (4/4ページ)

 ある一部の製品や事例を用いて刺激的な結果を出すことで、人々の興味を引き付けることが目的であるのは明白」と反論しながらも、「少なくとも一定程度、(中国の)製造業における労働コストという強みが確実に低下していることを説明している」と率直に認めた。

 報告書は英フィナンシャル・タイムズ紙の論評「世界貿易の新常態を知る」も引用。そこでは、世界の貿易量全体が減少する中で、中国が東アジアの生産工程の中で最終的な製品化を手掛けてきた状況が一変し、「貿易の経済成長に対する反応は長期的に下降傾向」にあるとしている。

 その指摘についても、報告書はおおむね認めたうえで、「製造業が直面している新常態を正確に認識し、判断しなければならない」と呼びかけた。

 中国の政府系シンクタンクが、これほど自国経済を“弱気”にとらえた報告書は異例という。

 報告書をみた専門家の間からは「これまでの強気の見方とは一変し、驚いた」とする声が上がる一方で、「経済失速への危機感が、政府関係者の間にも広がっている証拠」という意見も聞かれた。