9日の東京市場では、世界経済の先行きに対する懸念の高まりを背景に投資家がリスクを回避する姿勢を強めたことで、急激な円高と株安が進んだ。外国為替市場の円相場は一時1ドル=114円台後半と、前日夕方に比べ2円以上も上昇。円高ドル安を嫌気して日経平均株価は急反落し、一時は1万6100円台に下落して約半月ぶりの安値となり、下げ幅は800円を超す場面があった。午前終値は前日終値比836円09銭安の1万6168円21銭。
麻生太郎財務相は9日の閣議後会見で、急速な円高ドル安の進行に関して「足元の市場で荒い動きが見られる。引き続き為替市場を注視したい」と警戒感を示した。
8日は中国の景気減速懸念や原油先物相場が節目の1バレル=30ドルを再び割り込んだことなどで投資家心理が冷え込み、欧米の金融市場が大きく荒れた。9日の東京市場はこうした流れを引き継ぎ、リスク資産である株式が大きく売られる一方、比較的安全な資産とされる円を買う動きが急加速。株式市場では急速な円高ドル安により、業績悪化が懸念される輸出関連株など主力株を中心に幅広い銘柄が売られ全面安の展開となった。