日銀は新政策の導入でこんなシナリオを描いたが、これらの効果が出てくるまでには時間がかかる。
それよりも、金利が低くなってもうけにくい円が売られやすくなるため、円安ドル高による企業業績の改善効果が先に出てくるとみられていた。
しかし、マイナス金利政策の導入決定直後にいったん1ドル=121円台まで売られた円相場は、9日には114円台まで買い戻された。日銀の新政策のみでは、世界経済の先行き不透明感を払拭できず、市場では「焼け石に水」(エコノミスト)との批判もくすぶる。
市場のリスクオフ(回避)による予想外の金利急低下は日銀にとって“誤算”のはずだ。既に、多くの金融機関は預金金利の大幅引き下げに踏み切ったほか、国内では、日本国債などで運用するMMF(マネー・マネジメント・ファンド)を購入できなくなった。現段階では、新政策のプラス面よりもマイナス面ばかりが目につく。
円高・株安に歯止めが掛からない中、市場では早くも追加の金融緩和期待が盛り上がり、日銀の黒田東彦総裁も「必要な場合はさらに金利を引き下げる」とマイナス幅を広げる可能性を示唆する。
だが、マイナス金利の悪影響のみが大きくなれば、反発も広がる。黒田日銀に残された手はそれほど多くなさそうだ。