■企業心理支える策を
□日本総合研究所・山田久調査部長
全体として日本経済の回復に弾みがついていないことが改めて確認できた。個人消費の落ち込みは暖冬という天候要因に加え、株価下落など市場の先行き不透明感で消費者が慎重になっていることが背景にある。景気は当面、一進一退で弱含み傾向を余儀なくされそうだ。
だが、経済の回復メカニズム自体は崩れていない。原油価格の下落もあって、企業の収益体質は改善している。雇用者報酬も増加しており、実体経済はそれほど弱くはないとみている。
懸念は海外経済の減速や金融市場の混乱などを受け、企業マインドが悪化することだ。設備投資や今後本格化する春闘の賃金交渉に影響を及ぼせば、下手をすると景気後退の入り口になりかねない。政府は企業マインドが悲観的にならないようメッセージを発すべきだ。短期的な景気刺激策より中長期的な成長戦略が必要になるだろう。フィンテックなど新成長分野で規制改革のビジョンを明確にするといった政策対応が期待される。