【飛び立つミャンマー】高橋昭雄・東大教授の農村見聞録(34) (3/3ページ)

2016.2.26 05:00

タイとミャンマーの国境を流れるムーイ(タウンジン)川を渡るボート。対岸はタイのメーソット(1月、ミャワディ側から筆者撮影)

タイとミャンマーの国境を流れるムーイ(タウンジン)川を渡るボート。対岸はタイのメーソット(1月、ミャワディ側から筆者撮影)【拡大】

 切符を売っている人に、1日何人くらい乗るか聞いてみると、500人前後だという。橋を渡るのは手続きに時間がかかるので、日帰りならばこちらのほうが便利、とのことであった。そして驚いたことに、この切符売りは警官であった。「お前さんはミャンマー語が達者だからタイ側に行ってもいいよ」と言う。取り締まったり、見逃したり、小さな特権でいろいろ稼いでいるのだろう。

 ◆税関が賄賂まみれ

 その後、ミャワディの商工会議所の会頭を訪ね、国境貿易について聞いてみた。ミャンマーからは水産物、緑豆、トウモロコシが出て、タイからは種々の原材料、食料品、電気製品などが入ってくる。肥料や農薬、農業機械などの農業投入財は免税だが、手続きが面倒なので、みんな1.5%の関税を払うという。また、タイ側でもミャンマーの農産品は無税のはずだが、自国の農民保護のために、さまざまな非関税障壁を設けている。

 新道路のおかげで、毎月の輸出入量が600トンから800トンに増加したが、ミャンマー側の大幅赤字である。膨大な量のアンチモン(希少金属の一種)やチーク(木材の一つ)の密輸が行われており、これが公式化すれば、赤字は大幅に減るだろうとのことである。

 最後に会頭が強調したことは、タイもミャンマーも税関職員が賄賂まみれということである。AECでさまざまな自由化がなされても、それを実行する末端職員の意識が変わらなければ、その実効性は低いものになってしまうであろう。(随時掲載)

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